ある行動を選択したときの報酬と罰の刺激から、環境内で得られる報酬を最大となるように行動決定する学習について、“強化学習”という用語があります。
そして、うつ病や不安障害があると行動決定に関与する“強化学習”の傾向が異なるのではないかという指摘があります。
今回は、うつ病や不安障害があった時の強化学習の傾向について、複数の研究をまとめた分析(メタアナリシス)を紹介します。
気分・不安障害に罹患している場合の強化学習
高度の不安やうつ病に罹患している場合の強化学習を内容として含んでいる27本の研究(3,085人の参加者、うつ病または不安障害の罹患者1,242人)が分析の対象となりました。
強化学習に関するパラメーター(学習率 learning rate・逆温度 inverse temperature・報酬学習率 reward learning rate・罰学習率 punishment learning rate)について、うつ病や不安障害に罹患している場合と正常な場合とで比較しました。
主要な結果として、うつ病や不安障害に罹患している場合には罰学習率が通常よりも高く、報酬学習率はやや低くなっていました。
つまり、“うつ病や不安障害があったときには、罰によって行動が決定されることが多くなるかもしれない”と言えそうです。
罰にあたるような、環境からのネガティブな刺激をより強く印象づけることによって、症状が維持されている可能性について考えられました。
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