報酬をどのように予測し、価値を置いて、行動を選択するかといった、“報酬予測”に関する行動は脳科学において重要なテーマとなってきました。
うつ症状がある場合の特徴の一つとして、報酬に関する処理の障害が検討されています。
今回は、うつ病における報酬処理に関する行動について調べたメタ・アナリシス(複数の論文を統合し、より信頼性の高い結果を得ようとした分析)をご紹介します。
健常者と比較したうつ病患者の報酬処理行動
うつ病患者と健常者とを報酬処理の課題に関して比較した48の論文(1767人のうつ病患者と1387人の健常者、平均37.85歳、58%が女性)を分析に含めました。
報酬処理行動の全体としてうつ病患者ではわずかに健常者との違いが認められました。特に違いが明らかだったのは、選択肢の価値決定、報酬選択傾向、強化学習(報酬が最も多く得られる方向に行動が強化される)でした。
研究ごとに採用している課題や方法に違いがあり、どこまで統合した結果に信頼を置くか難しいところですが、少なくともうつ病の状態によって、報酬に関する認知と行動選択が影響を受ける可能性は高そうです。
#うつ病
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