脳内には様々な部位同士の神経走行の繋がりがあり、このような繋がりを一体として捉え、「ネットワーク」と読んでいます。
今回は、うつ病の入院治療で、脳内のネットワークがどのような影響を受けるかを調べた発表(35th European College of Neuropsychopharmacology (ECNP) Congress)をご紹介します。
Jonathan Repple, MDらによって実施されたこの研究には、123人(そのうち55人が比較対照としての健常者で、残りはうつ病のために入院した患者)が参加しました。
うつ病で入院した患者には、薬物療法、精神療法、ECT(電気けいれん療法)のうち、いくつかが実施されました。
治療開始時より、複数回にわたって6週間の経過を、MRI画像で確認しました。
結果として、以下のことが示されました。
・うつ病で入院した患者の多くで、健常者よりも脳内ネットワークの機能が低下していました。
・6週間の治療経過で、うつ病患者における脳内ネットワークは機能が改善していることが、画像検査で確認され、これは症状の軽減と関連を示していました。
・脳内ネットワークの機能改善は、行った治療内容には関係なく、生じていました。
要約:『うつ病の治療により、比較的短期間で脳内ネットワークは改善する可能性がある』
近年、様々なかたちで脳の可塑性(神経細胞の単体や繋がりの変化)が指摘されていますが、この研究では、それが比較的短期間の治療で生じる可能性が示されていました。
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