
日本では(自分も含めて)、うつ病に対する治療選択として、ほとんどの場合薬物療法がとられます。
アメリカやヨーロッパでの現状は心理療法の選択が大きく、治療効果も(中等症~重度の場合も含めて)ほとんど拮抗すると指摘されています。
今回は、うつ病の治療選択について、多くの文献をネットワーク・メタアナリシスという手法で分析した内容をご紹介します。
うつ病の心理学的な治療を薬物療法や併用療法と比較する
58本の研究、参加者としては中等症~重度のうつ病患者を主体とする9,301人が分析の対象となりました。
分析の結果、以下の内容が示されました。
①抗うつ薬を含まない治療に比較して、心理学的な治療では治療が有効であった反応が60%増加、抗うつ薬を含む薬物療法では65%増加していました。
②心理学的な治療と抗うつ薬を含む薬物療法では違いは明らかではありませんでした。
③心理学的な治療と薬物療法(抗うつ薬含む)を併用した方が、心理学単独よりもおよそ35%治療の反応率が高くなっていました。
つまり、“心理学的治療は薬物療法(抗うつ薬)とほぼ同等の効果を持ち、薬物療法と併用されるとより効果が高い”と言えそうです。
心理学的な治療の中身は特定されておらず、認知行動療法に限定した場合にはさらに有効性が高く評価される可能性も考えられました。
Comments