がんの診断後には自殺が増加することが以前から指摘されてきました。
今回は、がん診断後の自殺率が、収入や住んでいる地域によって異なるかを調べた研究をご紹介します。
アメリカにおける収入や地方・都市(田園)地域の違いによるがん診断後自殺率の分析
がん統計に関するアメリカの大規模資料(Surveillance, Epidemiology, and End Results : SEER) を元にした研究で、がんと診断された5,362,782人が研究の対象となりました。
主な構成は、男性が51.2%、白人72.2%、65歳以上が49.7%で、このうち6357人( 自殺率: standardized mortality ratios 1.41%) が自殺しました
分析の結果、以下の内容が示されました。
①平均収入の低い州では最も自殺率が高く、1.94%となっていました。(これに対して、平均収入の高い州では1.30%)
②都市部と田園地域の比較では、田園地域での自殺率が高く(1.81%)、都市部では低く(1.35%)となっていました。
③また、全体を通して、がん診断後の最初の1年間が最も自殺率が高くなっていました。
つまり、“がん診断後の自殺は、収入や住んでいる地域の環境要因(援助資源)によっても異なる”可能性が示されました。
がん診断後には、収入の低下・治療費や援助の必要性に配慮した総合的なケアが必要であると考えられました。
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