特に高齢者のうつ病では、気分の落ち込みや悲哀感よりも、アパシー(強い無気力)が前景として出現することがあります。
今回は、アパシーを伴う高齢者のうつ病に関して、脳内ネットワークの特徴や治療に関する反応性を、画像検査で確かめた研究をご紹介します。
Comparison of Functional and Structural Neural Network Features in Older Adults With Depression With vs Without Apathy and Association With Response to Escitalopram
Secondary Analysis of a Nonrandomized Clinical Trial
うつ病高齢者の、アパシーの有無に関する神経ネットワークの機能的・構造的比較
うつ病に罹患した高齢者40人(26人が女性、平均70歳)が含まれ、そのうち20人にはアパシー(強い無気力)が伴っていました。
機能的MRI画像を用いて、脳内ネットワークを評価し、アパシーの有無や、よく使われる抗うつ薬(エスシタロプラム)の有効性を調べました。
結果として、セイリエンス・ネットワークと呼ばれる脳内ネットワークや、目的指向性の行動に関わる広い範囲でのネットワーク機能の低下と、アパシーの存在が関連しており、抗うつ薬の反応性が悪いことが分かりました。
要約:『アパシーを伴う高齢者うつ病では、脳内ネットワークの機能低下が生じていることが多く、抗うつ薬の効果も低い』
高齢者のアパシーは認知症でも多く認められ、臨床的に大きな課題となっています。
機能低下の部位等、詳細が分かることで、今後の治療につながることが期待される内容でした。
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