一度注射すると長期間に渡って効果を発揮する注射剤のことを、持効性注射剤(デポ剤)と言って、主に服薬の継続が問題となることの多い統合失調症の治療などで用いられてきました。
服薬の負担がなく、薬の効果が持続できる等の大きなメリットがありますが、副作用が現れた時には、体から薬剤を排出させる手段がない(少なくとも短期間で体から排出されない)といったデメリットがあり、導入に慎重な立場もあります。
最近、今まで1ヶ月や3ヶ月の持効性注射剤を発売してきた薬剤会社から、6ヶ月の製剤がアメリカで承認を受けたことが発表されました。
ヤンセンが、アメリカFDAでインヴェガハフイェラ(6ヶ月時効性パリペリドンパルミチン酸塩)が認可されたと発表
承認の根拠とされた臨床試験では、3ヶ月製剤との比較でほぼ同等の成績(1年間の再発の少なさ)が示されています。
具体的には、1年間の経過観察で、再発・再燃なしの割合が、3ヶ月製剤で95%、6ヶ月製剤で92.5%でした。
治療を行っていての実感で言えば、再燃・再発が本当に1割未満に抑えられるならば、非常に大きな効果であると考えられます。(ただし、構造化された臨床試験でPANSSスコアをもとにした再発の定義は、実際の生活の中での治療成績と異なるかもしれません)
しかし、半年に1回で、服薬と大きな差のない精神症状の改善効果を認めるのであれば、そちらを選択したいという患者さんは多いと思われました。
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