#アルコール依存
アルコールの乱用がある方の認知能力低下について“アルコール性認知症”という言葉が使われることがあります。
確かに「アルコールを多量に飲んでいると脳に悪い」というイメージと一致する言葉ではありますが、本当にアルコールには直接的に脳の機能低下をきたすような作用があるのでしょうか?
今日は、思春期からの長期に渡る経過でアルコール摂取、脳萎縮、パーソナリティとの関連を調べた研究をご紹介します。
思春期の酩酊頻度と灰白質・パーソナリティ変化の関連
平均14.4歳の726人(女性48%)が調査の対象となりました。
14・16・19歳時の酩酊頻度とパーソナリティの経過、14・16歳時の脳の構造的変化をみるためのMRI検査が行われました。
まず、アルコールによる酩酊の頻度と脳の萎縮とは確かに関連していましたが、関係性としては、従来から言われていた①アルコール多飲→脳の萎縮 という関係よりは、②脳の萎縮→アルコール多飲 という関係の方がより強いことが分かりました。
また、パーソナリティとしては“衝動性 impulsivity”とアルコール多飲との関連が深いことが分かりました。
上記の結果からは、“アルコールをたくさん飲むと体に悪い。だから脳も痩せて来るはずだ”という考えは必ずしも成り立っていないようです。
イメージから導かれる図式を鵜呑みにせずに、“アルコールの神経毒性”という考え方については慎重に解釈したほうが良いと思われました。
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