アルツハイマー病と診断される前に、検査でしか分からない認知能力の微量の低下( objectively defined subtle cognitive difficulties :以下SCD)や軽度認知障害(mild cognitive impairment :以下MCI)と判断(診断)されることがあります。
今回はこれらの状態と実際に脳で起っている変化との関連を調べた研究をご紹介します。
SCDは将来のアミロイド沈着と神経変性の指標となる
合計747人の参加者(認知障害なし:以下CN 305人、SCD 153人、MCI 289人)が調査の対象となりました。
対象者に、認知能力の低下を調べる神経心理学的検査、アルツハイマー病で脳に溜まるアミロイドと言われる物質がどれくらい存在するかが分かる画像検査、脳の体積や形が分かる通常の画像検査を4年毎に行いました。
結果として以下のことが示されました。
①SCDのグループでは他のグループよりも早くアミロイドの沈着がみられていました。
②SCDとMCIでは認知能力の低下がないCNのグループより早く嗅内皮質と言われる部位の萎縮(脳の痩せ)がみられました。
③MCIのグループでは海馬と呼ばれる部位の萎縮がみられました。
つまり、特にSCDはアルツハイマー病が進行する指標とされるアミロイドの沈着よりも早くに起こり、これからどのような病態が生じるか分かる前兆として有効であると言えます。
アルツハイマー病は早期発見がその後の経過に良い影響を与え得る疾患であるので、SCDを検知することは臨床上、非常に重要であると考えられました。
#アルツハイマー病
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