認知症の治療については、共通の部分もたくさんありますが、どのようなタイプの認知症か分かっていることが役立つ場合もあります。
今回は、アルツハイマー病を他の認知症から見分けるのに、“リン酸化タウ217”が、他の検査と比較してどの程度役立つのか調べた検査をご紹介します。
リン酸化タウ217のアルツハイマー病と他の認知症を見分ける正確さ
集団①:アルツハイマー病34人と非アルツハイマー病47人を含む平均83.5歳の集団
集団②:非認知障害301人、軽度認知障害178人、アルツハイマー病121人、非アルツの認知症99人を含む平均69.1歳の集団
集団③:家族性アルツハイマー病で認めるPSEN1の遺伝子変異がある365人、非遺伝子変異257人を含む平均35.8歳の集団
以上の集団のそれぞれについて、“リン酸化タウ217”がこれまでに使われてきた他の指標と比べて、どのくらい他の認知症との区別を行うことができるのか調べました。
結果として、“リン酸化タウ217”について以下のようなことが示されました。
・集団①においては、今まで使われてきた簡便な検査(リン酸化タウ181やニューロフィラメント軽鎖:NfL)よりも診断精度が高かった。
・集団②においては、今まで使われてきた簡便な検査(リン酸化タウ181やニューロフィラメント軽鎖:NfL、MRI)よりも診断精度が高かったが、さらに詳しい検査(脊髄液やSPECTを用いた検査)と大きな違いがなかった。
・集団③においては、25歳以降、遺伝子変異のある場合の方が“リン酸化タウ217”が高くなっていた。
つまり、簡便な検査としては今までに存在した検査よりも優秀だが、手間がかかり実施できる施設が限定される詳しい検査より優れているとは言えない、ということになります。
上記のような結果から、今後、クリニックで実施可能なアルツハイマー病の検査としては有力な候補となり得ると思われました。
#アルツハイマー病
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