
アルツハイマー病等の認知症においては徘徊などの影響もあり、転倒の危険性に留意する必要があります。
今回は、特にアルツハイマー病における前庭機能と転倒の危険性について調べた研究をご紹介します。
前庭機能はアルツハイマー病における転倒の危険性の予測因子である
軽度~中等度のアルツハイマー病に罹患した48人が対象となり、平均1年間の経過観察を行いました。
前庭機能の指標として前庭動眼反射や前庭誘発筋電図を用い、これらと開眼/併願時の身体的動揺(中心からのズレ sway)を測定しました。
結果として、以下のことが示されました。
①アルツハイマー病(以下、AD)では健常者と比較して中心からの体の動揺が大きくなっていました(開眼時でAD 0.89 cm vs 健常者0.69 cm 閉眼時でAD0.86 cm vs 健常者0.65 cm) 。
②ADの中では前庭機能が保たれていると動揺の幅(左右、前後)や速度は少なくなっていました。
つまり、“アルツハイマー病でも、前庭機能が保たれていれば動揺が軽減し、転倒が少なくなる可能性がある”と言えそうです。
前庭機能を保つために具体的にどのようにしたら良いかは明らかではありませんが、前庭機能の評価が転倒リスクの危険性について、有用な情報となることが考えられました。
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