アルツハイマー病などの脳の神経活動が低下する疾患では、神経活動を直接刺激することで機能の改善を図ることが可能ではないかという考えがあります。
今回は、脳の深部刺激を行うことでアルツハイマー病における脳の構造変化にどのような影響があるのかを調べた研究をご紹介します。
深部脳刺激はアルツハイマー病における脳の構造変化に影響を与える
アルツハイマー病の診断を受けている6人が対象となりました。
脳の脳弓に対する深部脳刺激を行い、MRIを用いて海馬・脳弓・乳頭体等、脳の構造変化を1年の経過で調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①2例では特に大きな影響を認め、そのうち1例では3年間海馬の体積が保たれていました。
②年齢や性別などをマッチさせた他のアルツハイマー病の患者と比較すると、明らかに海馬の萎縮する速度がゆっくりになっていました。
つまり、“脳深部刺激を行うことによって、通常のアルツハイマー病では進行していく脳の萎縮を抑制することができるかもしれない”ということです。
ごく少数例の結果で、これだけで効果があると言うことは難しいと思われますが、深部脳刺激の適応が広がる可能性を感じさせる研究でした。
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