
脳の刺激法にはいくつかあり、最近は磁気を用いたrTMS等が良く知られていますが、微量の電流を用いたものにtDCS(経頭蓋直流電気刺激)があります。
今回は、アルツハイマー病に対するtDCSの効果を調べた研究をご紹介します。
Impact of twice-a-day transcranial direct current stimulation intervention on cognitive function and motor cortex plasticity in patients with Alzheimer’s disease
アルツハイマー病に対する経頭蓋直流電気刺激の効果
アルツハイマー病に罹患した124人が対象となり、実刺激(tDCS)を行う61人と偽刺激を行う63人に振り分けました。
6週間にわたって(週5日)、背外側前頭前野と呼ばれる領域を刺激して、認知能力変化を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・tDCSを行ったグループでは認知能力、特に記憶に関連する単語再生、単語認識等が改善していました。
・運動誘発電位(MEP)によって脳の可塑性(電気に対する反応の変化)を調べ、可塑性の障害が高度であるほうが認知能力が低下していました。
要約:『アルツハイマー病に直流の電気刺激を行うと、記憶の改善に有効であるかもしれない』
長期的な効果は不明ですが、脳の対する電気的刺激が少なくとも研究期間内では、記憶に対して改善効果を認めていた結果でした。
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