◎要約:『アルツハイマー病の経過中、幻覚や妄想が出現する場合には、ある種のバイオマーカー(リン酸化タウ蛋白やニューロフィラメントL)の上昇を認める可能性がある』
今回は、アルツハイマー病の経過中に精神症状(幻覚や妄想)が出現した場合の、バイオマーカー(生体から採取したサンプルから分かる尺度)の変化について調べた研究をご紹介します。
アルツハイマー病の精神病症状と関連するバイオマーカーの上昇
Psychosis in Alzheimer Disease and Elevations in Disease-Relevant Biomarkers
研究開始時点では幻覚や妄想のない軽度認知障害あるいはアルツハイマー病に罹患した752人(平均74.2歳、男性57.7%)を対象としました。
検査項目としてアルツハイマー病の進行の目安となるリン酸化タウ蛋白( p-tau181)とニューロフィラメントL(NfL)を調べ、幻覚や妄想との関連を調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・経過中の精神症状の出現がリン酸化タウ蛋白のレベル上昇と関連していました。
・ニューロフィラメントLについても、精神症状が出現した場合に上昇を認めていました。
アルツハイマー病に伴う精神症状の背景となる病理的変化の目安として、リン酸化タウ蛋白やニューロフィラメントの数値が参考となる可能性が示されていました。
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