オピオイドアゴニスト(受容体作動薬)の中止と自傷・自殺の増加


オピオイド(麻薬)依存の治療に、その受容体に作用するオピオイドアゴニスト(メサドン等)が使用されることがあります。


オピオイドほど強力ではありませんが、類似の作用を持っているので、依存症からの回復を図るときにオピオイドの代わりに使用することで離脱を緩和することができます。


今回はオピオイドアゴニストのによる依存症治療の中止で、自傷や自殺が増えるのか調べた研究をご紹介します。


Self-harm and suicide during and after opioid agonist treatment among primary care patients in England: a cohort study

イギリスの初期治療におけるオピオイドアゴニスト使用中・使用後の自傷や自殺


イギリスの大規模な臨床データを用いた研究で、18~75歳のオピオイドアゴニスト療法を受けたことがある8,070人が研究の対象となりました。


自傷・自殺企図を契機とする入院や自殺による死亡を、オピオイドアゴニスト使用中と使用後で比較しました。


結果として、以下の内容が示されました。

①一般人口に比べると、研究対象者の自殺による死亡率は7.5倍になっていました。

②オピオイドアゴニスト療法の中止は自傷の増加につながっていました(療法のない期間は1.5倍に増加していた)が、自殺については違いが明らかではなかった。

③オピオイドアゴニスト療法の中止後4週以内で、自傷と自殺が特に増加していました。


つまり、“麻薬依存の治療に使われるオピオイドアゴニストは、自傷や自殺に対して保護的に作用している可能性がある”と言えそうです。


ずっとオピオイドアゴニストを継続するわけにもいかないかもしれませんが、少なくとも中止を慎重に行い、中止後の心理的サポートと経過観察を行うべきであると考えられました。

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