◎要約:『心肺機能抑制の程度において、オランザピン注射剤にベンゾジアゼピン系注射剤を追加しても、オランザピン注射剤のみの場合と違いはないのかもしれない』
強い興奮や攻撃性などの鎮静に用いられる薬剤の例として、オランザピン注射剤やベンゾジアゼピン系注射剤があります。
海外のガイドラインでは、この2つの薬剤について心肺機能の抑制を懸念して併用を禁ずるものや、一定の間隔をあけて使用を認めるものなどの相違があります。
今回は、アメリカの救急部門において、オランザピン注射剤のみ、オランザピン注射剤+ベンゾジアゼピン系注射剤の2通りでどのように心肺機能の抑制が異なるのかを調べた研究をご紹介します。
救急部門におけるオランザピン注射剤に追加したベンゾジアゼピン系薬注射剤の有無による挿管率の比較
Comparing Intubation Rates in Patients Receiving Parenteral Olanzapine With and Without a Parenteral Benzodiazepine in the Emergency Department
アメリカにおける研究で、救急部門を受診し、高度の興奮を認めた693人(平均年齢37歳、平均アルコール濃度210mg/dL)が対象となりました。
上記のうち、オランザピン注射剤2回(549人)と、オランザピン注射剤1回+ベンゾジアゼピン系注射剤1回(144人)とで、どのように心肺機能への影響が異なるのか(気管挿管に至った割合などから)比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・2つのグループで心肺機能抑制が生じて気管挿管に至った確率は変わりませんでした(オランザピンのみ3.8% vs オランザピン+ベンゾジアゼピン系3.5%)。
・他の指標として低酸素、低血圧の発生においても違いはありませんでした。
心肺機能抑制に大きな相違はないという結果でしたが、過剰な鎮静や身体への影響について留意するべきであると思われました。
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