◎要約:『カリプラジンは双極症Ⅰ型の(元の不安の程度や用量で違いはあるが)不安症状に有効であるかもしれない』

気分障害にしばしば随伴する症状として強い不安があります。
この症状を軽減するために抗不安薬を追加することもありますが、本来は依存の問題なども懸念され、好ましくない面があります。
今回は気分安定の効果をもつ抗精神症薬であるカリプラジンが不安の強弱によって作用が異なるのかをみた研究をご紹介します。
Efficacy of cariprazine in patients with bipolar depression and higher or lower levels of baseline anxiety: a pooled post hoc analysis
不安が強い場合・弱い場合の双極性障害に対するカリプラジンの有効性
以前に行われた臨床試験データを元にした後付けの分析(Post hoc analyses)で、双極症Ⅰ型罹患した対象者を、不安が強いグループと不安が弱いグループに分けています。
結果として、以下の内容が示されました。
・不安が強いグループに対する低い用量(1.5mg)で、うつ症状、不安症状軽減の効果を認めていました。
・もともと不安が弱いグループに対する低い用量(1.5mg)では、明らかな効果を得るために高い用量(3mg)が必要となっていました。
後からの分析で、証拠の質としては高くありませんが、カリプラジンの不安症状への効果を示唆する内容となっていました。
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