薬剤が効きにくい重度のうつ病に対しても有効な方法として、ECT(電気けいれん療法)は長い歴史を持っています。
また、最近は麻酔薬であるケタミンも、薬剤抵抗性のうつに即効性があるということで注目されています。
今回は、ケタミンの効果をECTと比較した試験(非劣性試験)についてご紹介します。
単極性うつに対するECTの代替としてのケタミン投与
単極性うつで入院している186人(18~85歳)が対象となりました。
対象者をECTとケタミンに1:1に振り分け、寛解(ここで使用しているうつ病尺度MADRSで10点以下)の割合について比較しました。
結果として、以下のことが示されました。
①寛解率はケタミンで46%、ECTで63%となっていました(両者とも平均6回の治療が必要)。
②12ヶ月以内の再発率はケタミンで70%、ECTで63%となっていました(再発までの平均日数はケタミン57日、ECT61日でした)。
つまり、“ケタミンはECTと比較すると寛解率で劣っており、再発率もやや高い”と言えそうです。
しかし、ケタミンの寛解率は平均6回の治療で半数近くとなっており、(寛解率でECTよりは劣っているものの)薬剤抵抗性のうつ病に対して有力な選択肢であることに変わりはないと考えられました。
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