◎要約:『治療抵抗性うつ病に対しては、(評価の時期や重症度により違いはあるが)ケタミンで電気けいれん療法と同等かそれ以上の効果が得られるかもしれない』

今回は、治療抵抗性うつ病に関してケタミン(注射剤)と電気けいれん療法を比較した研究をご紹介します。
治療抵抗性うつ病に対するケタミンと電気けいれん療法の効果比較
Ketamine vs Electroconvulsive Therapy for Treatment-Resistant DepressionA Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial
治療抵抗性うつ病(抗うつ薬で十分な効果を得られなかったうつ病)である21~75歳の患者365人が対象となりました。
対象者をケタミンの治療(3週間で6回注射)と電気けいれん療法(3週間で9回施行)に振り分け、治療の効果を観察しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・うつ病が比較的軽度(QIDS-SR16が20以下)の時と治療開始が外来の時は、ケタミンの方が治療効果が大きくなっていました(例:外来の時、ケタミン-8.4 vs 電気けいれん療法-6.2)。
・うつ病が比較的重度(QIDS-SR16が20より大)の時と治療開始が入院の時は、電気けいれん療法の方が治療効果が初期に大きくなっていました(例:外来の時、ケタミン-6.7 vs 電気けいれん療法-8.4)が、最終的には同程度の治療効果になっていました。
・電気けいれん療法では、罹患前の知的能力が高い場合やPTSDを伴っている場合でうつ病尺度(MADRS)における軽減が大きくなっていました。
重症度や合併疾患などの条件により、やや違いはあるのかもしれませんが、概ねケタミン注射で電気けいれん療法と同等(かそれ以上)の効果を認めるという結果でした。
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