昨日、抜粋したサイコパスについての説明では、情緒的感受性や共感性の欠如、触法行為に至る無思慮について触れました。
今回は、これらの定説について、疑問を投げかける研究をご紹介します。
サイコパスの個人は後悔を示すものの、代替の意思決定において後悔を回避しない
18~55歳のサイコパス尺度(The Self-Report Psychopathy–III)における高得点者62人が対象となりました。
対象者に対して、現実世界における反社会的行動について、後悔の念や代替の意思決定について問いました。
結果として、以下の内容が示されました。
①サイコパスの基準を満たす場合でも、過去の行動については後悔の念を示し、感情を表現していました(感情の尺度評価自体は高くなっていました)。
②しかし、代替の行動を選択する場合においては、後悔した内容について、回避する傾向がなく、そこからの学習が生かされていませんでした。
つまり、“サイコパスは、感情や後悔の欠如によってではなく、経験からの学習がないことによって特徴づけられるかもしれない”と言えそうです。
サイコパスの定義に関わる内容ですが、もしサイコパスと呼ばれ人々にこのような情緒の感受性があるならば、心理療法の可能性も広がるように思われました。
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