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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

プロラクチンを増加させるタイプの抗精神病薬の長期投与は乳がんのリスクを上昇させる


抗精神病薬の投与を長期間行われている女性では乳がんの発症が増えるのではないかという指摘があります。


今回は、フィンランドの大規模な研究で、抗精神病薬と乳がん発症との関連について調べた研究をご紹介します。


統合失調症の女性における抗精神病薬と乳がんリスクの関連


全国的な疾患登録データを用いた(ケース・コントロール・スタディと呼ばれるデザインの)研究で、2001~2017年の調査機関で、30,000人以上の女性が統合失調症に罹患しましたが、このうち1,069人が乳がんの診断を受けました。


抗精神病薬の服用期間や、服用していた抗精神病薬がプロラクチン(乳腺を刺激するホルモン)を増やすタイプかどうかによってグループ分けを行い、乳がん発症との関連を調べました。


結果として、以下の内容が示されました。

①4年以下の服用や、5年以上でもプロラクチンをあまり増やさないタイプの抗精神病薬では、乳がんの発症リスクが上昇していませんでした。

②しかし、プロラクチンを増やすタイプで、5年以上の服用期間がある場合には、乳がんの発症が多くなっていました。(現象が起こる割合の目安オッズ比1.56倍)


つまり、“抗精神病薬のうちプロラクチン血症をきたしやすい薬剤では、長期の投与によって乳がん発症の可能性を高めるかもしれない”ということです。


抗精神病薬は個人の体質や症状によって、効果の出方に差異があり、自由に種類を選べるわけではないと思われますが、女性への投与ではプロラクチン血症(プロラクチン濃度の上昇)には一定の注意が必要であると思われました。

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