◎要約:『ヘルペスウィルス感染があった場合には、認知症リスクが大きくなるかもしれないが、治療は1割以下しか行われていない』

ヘルペスウィルス感染と認知症との関連は以前から指摘されてきました。
今回は、ヘルペスウィルス感染があったことを示す抗体濃度、治療の有無、アルツハイマー病の遺伝子 (APOE 4) 等との関連性を調べた研究をご紹介します。
Herpes Simplex Viral Infection Doubles the Risk of Dementia in a Contemporary Cohort of Older Adults: A Prospective Study
単純ヘルペスウィルス感染が認知症リスクを倍増する
スウェーデンにおける研究で、認知症のない70歳の高齢者を対象に、15年間の追跡調査が行われました。
結果として、以下の内容が示されました。
・82%が抗HSV抗体(anti-HSV IgG)のキャリアで6%がヘルペスウィルス感染に対する治療を受けていました。
・15年の経過観察で、7%が(原因を問わない)認知症を発症し、4%がアルツハイマー病を発症していました。
・抗HSV抗体(anti-HSV IgG)が陽性であることと認知症の発症が関連を示していました(2.26倍)が、アルツハイマー病との関連は明らかではありませんでした。
・アルツハイマー病の遺伝子 (APOE 4) と抗HSV抗体(anti-HSV IgG)との関連も明らかではありませんでした。
治療を行った場合の効果などは不明ですが、炎症と認知症リスクの関連は以前から指摘されており、早期の治療が望ましいと思われました。
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