以前から生活様式の違いによる認知症発症リスクへの影響が指摘されてきました。
今回は、アマゾンに住むボリビア先住民について、認知症や軽度認知障害の頻度を調べた研究をご紹介します。
農耕-狩猟ボリビア先住民における認知症と軽度認知障害の有病率
60歳以上のボリビア先住民(チマネ族、モセテン族)623人が調査の対象となりました。
認知能力の評価尺度(MMSE)やCTを行い、認知能力と脳の画像所見で評価を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
①認知症についてはチマネ族で1.2%、モセテン属で0.6%となっており、アメリカの11%(65歳以上)と比較して、非常に低い有病率となっていました。
②軽度認知障害については、チマネ族7.7%、モセテン族で9.8%となっており、アメリカの有病率と大きな差はありませんでした。
つまり、“ボリビアの先住民では、軽度認知障害となっても進行が少なく、認知症がアメリカの10分の1程度となっている”と言えそうです。
特に研究の対象となった民族では、高齢になっても狩猟・採取などを行い、活動度が高いことが知られています。
遺伝的な要素も大きいと思われますが、生活様式の変更が広がっている他の先住民ではこれほどの差異を認めないことを考えると、身体的活動度の高い生活様式を保持していることの影響が大きいのかも知れません。
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