“マインドフルネス”(非常に大雑把に言って、現在に注意を向けることを重視する心理療法で、瞑想を訓練として行うことがある)が、不安やうつ、痛みなどに有効であることが指摘されてきました。
今回は、マインドフルネスの痛みに対する効果について、より信頼性の高い証拠を求めたメタ・アナリシス(複数の研究を分析して統合した結果)をご紹介します。
The efficacy of mindfulness-based interventions in acute pain: a systematic review and meta-analysis
マインドフルネスを基礎とした治療法(以下MBI:mindfulness-based interventions)の急性疼痛に対する有効性
4つのデータベースを用いて、マインドフルネスの痛みに対する有効性を調べたランダム化比較試験を同定しました。このうち、一定の基準を満たした22の研究を分析の対象としました。
結果として、以下の内容が示されました。
①痛みの忍容性や閾値についてはマインドフルネスの有効性を認めていました(有効であるかを示す、“ヘッジのg”についての信頼区間 忍容性:0.157–1.282 閾値:0.210–1.154)
②痛みの強さや不快の軽減に関しては有効である証拠がありませんでした(“ヘッジのg”についての信頼区間 強さ:−0.241 to 1.280 不快:−0.018-0.419)。
つまり、マインドフルネスを行うことにより痛みのある側面(耐えやすさ等)については向上するけれども、痛みの強さ等の中心的な部分に関しては証拠が少ない、と言えそうです。
マインドフルネスの痛みに関する効果については、大きな規模で信頼性の高い研究デザインでの報告が少なく、(経済的にも内容的にも難しいと思われますが)今後もより信頼性の高い証拠が得られることが期待されます。
#マインドフルネス
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