リチウムの副作用による眼症状について



古くから双極性障害(躁うつ病)に対して使用され、非常に有効性の高い薬剤に希少金属のリチウムがあります。


しかし、腎障害や神経症状を伴うリチウム中毒など、稀ですが重篤な副作用が生じることもあり、使用に注意が必要な薬剤でもあります。


副作用の中でも比較的触れられることの少ないものに、調節障害・眼球突出・眼瞼下垂・眼振・乾燥・掻痒等の多様な眼症状があります。


今回は、双極性障害に対してリチウムを用いた場合で生じた、 羞明 (しゅうめい:些細な光線でも眩しく感じる)、眼部不快(刺激を受けやすくなる)の症状が出現し、非常に長引いた症例についてご紹介します。


A Case of Delayed-Recovery Lithium-Induced Photophobia and Eye Irritation in a Patient With Bipolar I Disorder

双極性障害の治療に使用されたリチウムによる羞明と眼の易刺激性


発症時点では38歳の女性(報告は49歳まで)で、最初は単極性のうつ症状で入院しました。その後、躁症状が現れ、夫に対する身体的暴力を伴うようになり、強制的な入院を経験しました。それらを含めて、主には薬剤の服用中断をきっかけとして16回の入院を繰り返しています。

その経過中、13回めの入院でリチウム1200mgとリスペリドン4mgの組み合わせで使用しているときに、それまでには経験のなかったそう痒感や乾燥といった眼症状が出現しました。そして、リチウムの使用開始から7ヶ月後で、羞明・眼の不快感が伴うようになり、悪化しました。最終的には、部屋の中でも眼が開けられなくなり、サングラスを常に着用していなくてはならないレベルにまでなりました。

眼科でリチウムの副作用が疑われ、リチウムをカルバマゼピンに変更したところ症状は治まりましたが、その後、躁症状の再燃があり、リチウムを再開したところ同様の眼症状を繰り返しました。


通常、リチウムによる眼症状は軽微なものが多く、あっても短期間で治まる場合が多いとされていますが、このように重篤で、長期間に渡り生活への影響が大きい場合があり、注意が必要であると考えられました。


#双極性障害 #副作用

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