不登校等の適応の障害について、背景にうつや不安症状があることが指摘されてきました。
今回は、うつや不安の傾向のある児童を集めて行った予防的プログラム(EMOTION “Coping Kids” Managing Anxiety and Depression)でどのような影響があったか調べた研究をご紹介します。
学校における不安やうつの予防: 診断横断的プログラム“EMOTION”の有効性
36校の生徒1,686人(8~12歳)にうつと不安の評価(Multidimensional Anxiety Scale : MASC-ChildとFeelings Questionnaire Short version: SMFQ-Child)を行い、高得点だった873人をプログラムを受けるグループと受けないグループに分けました。
“EMOTION”プログラムは8~12歳を対象とした認知行動療法的プログラムで、不安やうつの軽減する予防を目的としています。
プログラムを受けた場合と受けない場合とで不安やうつの状態変化を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①子どもの報告では、プログラムを受けたグループで大きな症状の軽減があり、プログラムを受けなかった場合よりも2倍の症状減少がありました。
②親に確認したところでは、うつ症状に改善を認めましたが、不安については明らかな違いがありませんでした。
つまり、“児童期に認める不安やうつ症状に対して、集団での認知行動療法プログラムが有効であるかもしれない”と言えそうです。
不安やうつの強い児童に対する発症前の段階での予防的アプローチが検討されても良いのではないかと思われました。
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