◎要約:『マルトリートメントは客観的評価よりも、主観的な振り返りの評価で、現在の感情面への関連性があるかもしれない』
子ども時代の不適切な養育(以下、マルトリートメントと表記)による精神状態への長期的影響が議論されてきました。
今回は、客観的な評価と振り返っての主観的評価の両面から、マルトリートメントと精神病理(高度の不安やうつ、苛立ち、怒り等)の関連について調べた分析をご紹介します。
Prospective and Retrospective Measures of Child Maltreatment and Their Association With Psychopathology
A Systematic Review and Meta-Analysis
不適切な養育の前向き、後ろ向き(振り返り)評価と精神病理の関連
マルトリートメントと精神病理の関連を内容として含む24本の論文(15,485人の参加者:平均21.3歳、51.0%が女性)が対象となりました。
結果として、以下の内容が示されました。
・マルトリートメントに関して、振り返って主観的に評価した場合(後ろ向き評価)の方が、最初の評価して経過を見る客観的な評価(前向き評価)よりも精神病理との関連が強くなっていました(オッズ比で比べると、後ろ向き2.14倍 vs 前向き1.27倍)。
・マルトリートメントと精神病理について、主観的な評価で行い、不安やうつ等の感情面に注目したほうが、関連性が強くなっていました。
実際のマルトリートメントの客観的評価は重要ですが、主観的にどのように認知されるかについて慎重に傾聴する必要性を感じました。
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