アルツハイマー病等の認知症と腸内環境の関連とが指摘されてきました。
今回は、腸内細菌叢のバランスを乱すことで知られる抗生剤の長期使用と、認知能力へ与える影響について調べた研究をご紹介します。
中年期女性における抗生剤使用と後年の認知機能低下の関連
看護師の健康について調べる研究 Nurses’ Health Study IIが元になっており、14,542人(平均54.7歳)が対象となりました。
ある時点からの経過を追う前向き(prospective)の研究計画(2014~2018年)で、2ヶ月以上の抗生剤使用があった場合の認知能力の経過を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①合併する疾患などの影響しそうな要素を調整した後でも、2ヶ月以上の抗生剤使用があった場合には、認知能力(処理速度・注意機能・ワーキングメモリ等)で、使用がなかった場合よりもわずかに低下していました。
②今回の観察結果では、抗生剤の長期使用は、3~4年歳をとるのと同等の影響を認知能力に対してもたらしていました。
つまり、“中年期以降に抗生剤を長期に渡って使用すると、僅かだが認知能力の広い範囲で低下が現れる可能性がある”と言えそうです。
女性のみが対象で、影響を与えそうな因子が他にもあるのではないかと気になりますが、腸内細菌叢の乱れを介在とした何らかの影響があるのかもしれません。
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