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中止か、減量か? 薬物依存治療の方針について

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

◎要約:『薬物依存(物質使用障害)の治療において、中止の方針のみではなく、減量の方針にも様々な点で意味があるかもしれない』





アルコールをはじめとする物質使用障害においては、(最近では減量を方針とすることも増えていますが)完全な中止(abstinence)を目標とすることが標準的な方針と言えます。


ただし、実際に完全な中止だけを目標としてしまうと、治療が硬直し、患者さんとの関係性の維持(治療の継続)が困難となることもしばしば経験します。


今回は、覚醒剤(コカインやメタンフェタミン)使用障害について、減量の方針にも意味があるかを調べた研究をご紹介します。


Reduced drug use as an alternative valid outcome in individuals with stimulant use disorders: Findings from 13 multisite randomized clinical trials

覚醒剤使用障害における減量方針の有効性について


13の比較対照試験データを元にした研究で、覚醒剤使用障害の治療を求める2,062人が対象となりました。


物質使用障害に関する様々な指標(渇望の程度やうつ症状などを含む)を元に、方針の有効性を調べています。


結果として、以下の内容が示されました。


・中止に成功したのは14.2%、減量に成功した例は18.0%となっていました。


・減量に成功した場合に、薬剤(primary drug)に対する渇望の程度(60.1%)、薬剤の探索行動(41.0%)、うつ症状の程度(39.9%)が減少し、他にも(中止ほど大きくないにしても)全体的は精神機能の改善を認めていました。




治療導入の容易さなどから考えても、せめて減量することにも意味を見出して、相談しながら中止も検討する姿勢が必要であると思われました。


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