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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

仮想現実(VR)を用いた認知療法で精神病性疾患に関連した妄想や不安が軽減する


昨日は仮想現実(VR)を用いた広場恐怖の軽減についてご紹介しました。


今回はかなり以前の論文(2018)になりますが、VRを用いた認知療法で、精神病性疾患に合併した妄想や不安が軽減するかを調べた研究をご紹介します。


精神病性疾患の妄想や社会的回避に対する仮想現実に基づいた認知療法


症状として妄想様観念がある精神病性疾患の患者116人が対象となりました。


16回のVRを用いた認知療法を行い、その効果を待機リスト(無治療の場合)との比較で検討しました。


VRの中では、スーパーマケットやカフェ等でアバター(創造された人物像)と接して、視線を避ける等の回避行動を行わないように援助されます。


結果として、以下の内容が示されました。

①VRを行った場合には待機リストと比較して妄想用観念や不安に軽減を認めていました。(3ヶ月後の効果量を示すCohen's dはVRで-1.49、待機リスト -0.75) 。

②3ヶ月の比較で実際に他者と過ごす時間は明らかな増加を認めませんでしたが、6ヶ月後では、僅かですがVRを行った場合のほうが増加していました (+0.3% vs -2.4%)。


つまり、“VRを用いた認知療法を行うことにより、精神病性疾患の妄想用観念や不安が軽減する可能性がある”ということです。


実生活の中でどのくらいの行動変容を認めるのか微妙なところですが、安全な方法で刺激の量を調整できるなどの、練習法上のメリットが大きいと感じました。

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