昨日は、アルツハイマー病になりやすい遺伝的特徴を持っている場合でも、中年期における生活習慣の改善が有効なのか調べた研究をご紹介しました。
今回は、発表時期はさかのぼって(2020年)、もっと広い対象で良い生活習慣がアルツハイマー病の発症に対して効果があるのか調べた研究をご紹介します。
健康的な生活習慣とアルツハイマー病のリスク
2つの経過を観察する研究を元にしており、Chicago Health and Aging Projectから1,845人とRush Memory and Aging Projectから920人が対象となりました。
健康的な生活習慣については、非喫煙、週に150分以上(中等度以上)の運動、少量の飲酒、質の良い(地中海式・DASH式)食事、認知能力を活性化する活動について調べて、0から5点で点数化しました。
6年程の経過で観察し、以下の内容が示されました。
①健康的な生活習慣の要素が一つ加わるごとに、アルツハイマー病のリスク(ハザード比は0.73倍となっていました。
②健康的な生活習慣が0~1つの時に比べると、2~3つでは37%、4~5つでは60%アルツハイマー病のリスクが低下していました。
つまり、“健康的な生活習慣の要素がほとんどない場合に比較して、できる限り健康的な生活を送った場合には、アルツハイマー病のリスクを6割くらい少なくできるかもしれない”と言えそうです。
生活習慣が大きく悪化している場合に、全体を短期間で改善するのは困難であると思われますが、一つでも健康的な要素を増やしたいと思われました。
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