児童思春期の逆境の中でも生活困窮(deprivation)の影響が大きい


児童思春期の逆境体験がその後の遂行能力に影響を与えることが指摘されてきました。


今回は、特に逆境の中でも生活困窮(deprivation)と恐怖(threat)に焦点を当てて、その影響の違いをみた研究をご紹介します。


Associations of Early-Life Threat and Deprivation With Executive Functioning in Childhood and Adolescence

A Systematic Review and Meta-analysis

児童思春期における恐怖と困窮の遂行機能に対する影響


91の論文(31,188人の参加者を含む)が分析の対象となりました。


児童思春期の逆境体験の中でも、強い恐怖を伴う体験(threat)と生活上の困窮(生活必需品などにも困る状態としてのdeprivation)の両者について、遂行機能のうち3領域(認知的柔軟性cognitive flexibility、衝動の制御inhibitory control、作動記憶working memory)について影響を調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①生活上の困窮のほうが、恐怖を伴う体験よりも衝動制御や作動記憶への影響が明らかに大きくなっていました。全体の効果の量(effect size)を分析したときにも、同様の傾向を認めました。

②認知的柔軟性(対象への行動を柔軟に選択し、注意を切り替える能力)については明らかな差を認めませんでした。


つまり、“生活上の困窮は、逆境体験の中でも特に脳の機能へ長期的影響を与える可能性がある”と言えそうです。


児童思春期の逆境体験は、いずれの要素も長期的に脳へのネガティブな影響を与えることが予想されますが、今回、遂行能力への影響をとらえる視点からは生活の基礎的な部分を支える必要性が高いと考えられました。

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