視覚や聴覚の低下は、認知能力の低下と関連することが指摘されてきました。
今回は、視覚・聴覚・嗅覚・触覚を含んだ多角的感覚の評価とその後の認知能力の推移がどのように関連するかを調べた研究をご紹介します。
多角的感覚機能評価と認知症リスク・認知機能低下速度の関連
70~79歳の認知症のない1,794人が対象となりました。
多角的感覚機能評価の結果と、その後10年間の認知機能の推移との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①認知症発症の危険性(の目安)は、多角的感覚評価で「悪い」と「良い」グループの比較では2.05倍、「中間」と「良い」グループの比較では1.45倍となっていました。
②多角的感覚評価のポイントが下がるほど、認知能力低下の速度が速くなっていました。
つまり、“視覚・聴覚・嗅覚・触覚を含む感覚が低下していると、早めに認知症になるかもしれない”と言えそうです。
感覚低下→認知能力低下なのか、認知能力低下→感覚低下なのかは不明です。もし、感覚低下→脳に対する刺激の減少→認知能力低下の促進が主な経路なのであれば、感覚低下が生じた時に補助的手段を用いることに大きな意味があると思われました。
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