大気汚染が認知症などの精神疾患に影響することは以前から指摘されています。
今回は妊婦の大気汚染暴露が出産した児の脳の構造変化と関連するか、その後の行動上の変化への影響とともに調べた研究をご紹介します。
出産前の大気汚染(多環芳香族炭化水素)暴露が与える子どもの脳白質、認知、行動への影響
アメリカ東部の都市部における研究で、727組の母子が調査の対象となりました。
多環芳香族炭化水素(PAH)と呼ばれる大気汚染の代表的な物質への妊娠中の暴露とその後(7~9歳まで)の脳の構造的変化、機能的な特徴が調べられました。
結果として以下の内容が示されました。
①大気汚染への暴露が強いほど、ほとんど全ての領域(特に左半球)において脳白質の表面積が減少していました。
②左半球の脳白質表面積の減少は処理速度の低下、ADHD(注意欠陥多動障害)、行為障害と関連していました。
つまり、因果関係までははっきりしませんが、妊娠中の大気汚染⇒脳の構造変化(白質の減少)⇒脳の機能変化(ADHDなど)というしくみが想定されていました。
目に見えにくい影響ではありますが、大気中の物質は常に呼吸器官を通して体内に摂取されており、特に脳が形成される妊娠中を含めて発達早期の配慮が必要であると考えられました。
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