精神疾患からの回復を図る上で、薬物療法や心理(精神)療法等の治療のみではなく、家族の支持や就労・就学へのサポート等、様々な援助が必要となります。
今回は、様々な側面からの援助を統合した援助の仕組みが、初期の精神病からの回復に対して有効か検討した研究について紹介します。
初発の精神病に対する包括的ケアと通常ケアとの比較
ここで、試験的に用いられている包括的ケアは“NAVIGATE”と呼ばれており、個人に即した薬物療法(ウェブを介した薬剤選択の支援システムを使用)、家族の心理教育、レジリエンス(回復力)に焦点を当てた個人療法、勤労と教育に関する支援を中核の部分としています。
初回エピソードの精神病性疾患に罹患した223人が上記のNAVIGATEを受け、181人が通常のケアを受けました(全体の平均年齢は23歳)。
多角的な治療成果の尺度(Heinrichs-Carpenter Quality of Life Scale)で評価したところ、NAVIGATEを受けた場合には、生活の質や精神病理の軽減について、通常ケアよりもk効果が高くなっており、この傾向は未治療期間が短い方が(74週未満で)、より強くなっていました。
つまり、包括的な治療を行うシステムを構築した場合には、精神病性の疾患からの回復について総合的な効果が大きくなる、ということが言えそうです。
すぐに身近で、このようなシステムを入手するのは困難かもしれませんが、可能な限り様々な側面からの支援を行えるように検討すべきであると思われました。
日々の診療、ご苦労さまです。成田先生の著作を検索して、たどりつきました。
いまはアラ還で相談室をしていますが、30代の後半まで精神科の病院で心理の仕事をしていました。統合失調症は重病かもしれませんが、難病ではないように感じます。ただストレスには弱いので、職場で他人の仕事を押しつけられても断れるようになると、「館内放送で自分の名前が呼ばれなくなった」(幻聴がなくなった)なんてこともありました。
年にひとりくらいかな、統合失調症になった青年が親ごさんに連れてこられることがあります。もちろんすぐに精神科にリファーしますが、精神科で働いていた頃よりも軽症化している印象を持ちます。本来的な症状が軽くなっているのか、それとも周りが大騒ぎしなくなったのでストレスが減って重症化しないのか、どっちなんだろうと思ったります。
私が勤めていた頃は、医師と男性看護師からなる実行部隊が、押さえつけて注射を打って連れてくるなどというケースがザラでした。目が覚めたら保護室と称される独房で、不穏な患者さんの独語や叫び声なんかも聞こえてきたりして、あれではパニックになって重症化していたとしても無理はないだろうと思ったりします。
社会参加への取組みが多面的に早期からなされることは、「大丈夫だよ」「できるよ」のメッセージとして伝わり、ストレスを減らしていく効果もあるのではないかと考えます。なんのエビデンスもない置き土産ですが、ご壮健をお祈りして失礼いたします。