統合失調症は疾患概念の形成期に“早発性痴呆”と呼ばれていた歴史があり、特に慢性期の症状においては認知症と多くの共通点を持っています。
今回は統合失調症と(行動障害型)前頭側頭型認知症との間に脳の解剖学的な共通点がどのくらいあるか調べた研究をご紹介します。
Exploring Links Between Psychosis and Frontotemporal Dementia Using Multimodal Machine Learning
Dementia Praecox Revisited
マルチモーダル・マシン・ラーニングを用いて精神病と前頭側頭型認知症の共通点を探す
(行動障害型)前頭側頭葉型認知症、アルツハイマー病、統合失調症、うつ病の診断を受けている合計1,870人が対象となりました。
MRI画像のデータをマシン・ラーニングを用いて情報処理し、統合失調症・うつ病と認知症との共通点を分析しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・統合失調症と(行動障害型)前頭側頭葉型認知症との解剖学的特徴の共通点は41%、アルツハイマー病とは17%でした。
・うつ病と(行動障害型)前頭側頭葉型認知症との解剖学的特徴の共通点は22%、アルツハイマー病とは3%でした。
要約:『統合失調症やうつ病は、アルツハイマー病よりも(行動障害型)前頭側頭葉型認知症の方に近い解剖学的な特徴を持っている』
論文中では、もっと様々な情報について統計的分析を行っていましたが、多くの点で認知症と他の精神疾患には共通点があるようです。
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