◎要約:『原発性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺摘出術を行っても、その後のうつ病発症に大きな影響はないかもしれない』
原発性副甲状腺機能亢進症(Primary hyperparathyroidism 以下、PHPTと表記)は比較的高齢期に多く認められ。(無症状のことも多いのですが)骨粗鬆症、腎結石、心機能異常等につながることもあります。
現在のところ、根本的には副甲状腺摘出術を行う方法がとられますが、これがその後のうつ症状に引き起こすのではないかという議論があります。
今回は、この摘出術を受けた場合に、実際にうつ病の発症が増えるのかを検討した研究をご紹介します。
原発性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺摘出術とうつ病の新規発症
Parathyroidectomy and the Development of New Depression Among Adults With Primary Hyperparathyroidism
うつ病の病歴のない原発性副甲状腺機能亢進症の患者40,231人(平均67歳、89%男性)が対象となりました。
摘出術を行った場合と行わなかった場合で、その後のうつ病発症を比較しています。
結果として、以下の内容が示されました。
・うつ病の発症は副甲状腺摘出術後5年で11%、10年で18%となっており、摘出術を受けなかった場合の9%(5年後)、18%(10年後)と大きな差異はありませんでした。
・上記の結果は、年齢やカルシウム濃度が同じ集団同士の比較でも同様でした。
時々高齢期の骨粗鬆症の背景として考えられる内分泌疾患ですが、根本的な治療を手術で行ってもうつ病の発症には大きな影響はないという結果でした。
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