うつ病と不眠との関連はよく知られていますが、多様な疾患で不眠や睡眠の質が悪化することが経験されます。
今回は、加速度計を用いた客観的な睡眠尺度と多くの精神疾患との関連を調べた研究をご紹介します。
加速度計による睡眠尺度と精神疾患の関連
イギリスの大規模な調査資料(UK Biobank)を用いた研究で、89,205人(43~79歳、56%が女性)が対象となりました。
手首に装着した加速度計からのデータによって、横臥時間、睡眠時間、覚醒時間、睡眠が始まってから覚醒までの時間、睡眠の質、覚醒回数、1回の睡眠の間隔、昼寝の回数、横臥時間と睡眠時間の変動に関する7日間の資料を入手し、生涯を通じての精神疾患診断との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①平均8.5種類の睡眠尺度が多くの精神疾患(うつ病/不安障害・双極性感情障害・統合失調スペクトラム障害)に共通して関連していました。
②睡眠の長さよりも、睡眠の質に関する尺度の方が関連が強くなっていました。
③影響の度合いが比較的大きなものでは、うつ病と睡眠の質との関連があげられました。
つまり、“(睡眠時間の減少よりも)睡眠の質の悪化は、多くの精神疾患発症の指標となる可能性がある”と言えそうです。
特にうつ病との関連で注目されるのは睡眠時間の減少ですが、睡眠の質を反映する昼間の活動や眠気にも留意し、病状との関連について検討したいと思われました。
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