
昨日は、多角的な感覚評価と認知機能低下の関連についてお伝えしました。
今回は、かなり以前の論文(2015)になりますが、特に嗅覚低下と、軽度認知障害の発症、軽度認知障害から認知症への移行について調べた研究をご紹介します。
嗅覚障害と健忘性軽度認知障害・アルツハイマー病による認知症
当初の参加者1,630人のうち、経過観察期間中に33人が死亡し、167人は追跡不能となり、結果ととして1,430人(平均79.5歳、49.4%が男性)が残りました。
平均3.5年の経過観察を行い、当初の嗅覚検査の結果(B-SIT)とその後の健忘性軽度認知障害・認知症の発症との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①健忘を主徴とする軽度認知障害の発症が、嗅覚検査の結果が悪いほど増えていました(一番良い評価グループと比較して、一番悪い評価グループでは2.18倍)。
②軽度認知障害から認知症への移行も、嗅覚検査の結果が悪いほど増えていました(一番良い評価グループと比較して、一番悪い評価グループでは5.20倍)。
つまり、“嗅覚検査の結果が悪いと、数年後に軽度認知障害や認知症になる可能性が高いかもしれない”と言えそうです。
特に、軽度認知障害であった場合に、数年後を予測する感覚低下として参考になる結果であると思われました。
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