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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

境界性パーソナリティ症における意思決定の傾向と自死企図

◎要約:『意思決定において十分な探索を行わない傾向が、希死念慮、(特に致死性の高い)自死企図と関連するかもしれない』






今回は、意思決定の傾向と境界性パーソナリティ症/うつ病の自死企図について調べた研究をご紹介します。


境界性パーソナリティ症とうつ病における探索・実行の意思決定と自死企図

Exploration-Exploitation and Suicidal Behavior in Borderline Personality Disorder and Depression


アメリカのピッツバーグにおける研究で、境界性パーソナリティ症、うつ病に罹患した患者(境界性パーソナリティ症171人、うつ病143人)が対象となりました。


意思決定における「実行(元はExploitationで、利用、搾取、活用という訳が考えられます)・探索のジレンマ」とは、今の知識のもとでの選択肢で実行するか、さらに探索して選択肢を増やすかの迷いどころを示す言葉ですが、このあたりの意思決定が自死企図を選択してしまう傾向に影響しているのではないかというのが、この研究の動機となっているようです。


結果として、以下の内容が示されました。


・全体のグループを通して、致死性の高い自死企図を行う傾向と選択肢を十分吟味せずに実行してしまう傾向(実行・探索が早期実行に傾きやすい傾向)、報酬が得られない選択肢から離れにくい傾向と関連していました。


・それに対して、致死性の低い選択肢をとる場合には、報酬の違う選択肢を様々に試す傾向が強くなっていました。


・外来患者において、探索が乏しい傾向が強いと希死念慮の生じる傾向が強くなっていました。




自死企図の中でも様々(致死性の低い)な選択肢を検討したり、その他の方向に意思決定を向ける検討力が重要であると思われました。

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