不眠(睡眠障害)に対しては薬物療法の他、運動療法や生活習慣の見直し、認知行動療法・マインドフルネスなどの心理療法が行われていますが、現在のところ医療機関では薬剤が主要な治療法となっています。
今回は、多くの睡眠薬を比較して効果や不作用の点から総合的な評価を行った研究をご紹介します。
成人の睡眠障害に対する短期・長期的薬物療法の効果比較
18歳以上の成人に対する薬物療法の効果を調べた170の試験(154が二重盲検、47,950人の参加者)が基準を満たし、今回の分析に含まれました。
各薬剤について、直接比較以外にネットワーク・メタ・アナリシスという間接的な比較の手法も用いて、効果や副作用を比較しました。
結果として、主なものを示すと以下のようになります。
・ベンゾジアゼピン類、ドキシラミン、エスゾピクロン、レンボレキサント、セルトレキサント、ゾルピデム、ゾピクロンが偽薬よりも効果を示していました(効果の差を示すSMD0.36-0.83 中等度から高度の有効性)。
・ベンゾジアゼピン類、エスゾピクロン、ゾルピデム、ゾピクロンはメラトニン、ラメルテオン、ザレプロンより有効でした(SMD0.27-0.71 低度から中等度の有効性)。
・中時間あるいは長時間作用型ベンゾジアゼピン類とエスゾピクロンはラメルテオンよりも中断が少なくなっていました。
・ゾピクロンとゾルピデムは偽薬よりも副作用による中断が多くなっていました。また、ゾピクロンはエスゾピクロン、ダリオレキサント、スボレキサントよりも中断が多くなっていました。
・研究終了時点での副作用のあった人数は、ベンゾジアゼピン類、エスゾピクロン、ゾピクロン、ゾルピデム、ゾピクロンで、偽薬やドキセピン、セルトレキサント、ザレプロンより多くなっていました。
要約: 『現在使用されている睡眠薬の中で、エスゾピクロン(商品名: ルネスタ)とレンボレキサント(商品名: デエビゴ)は効果と副作用の点から比較的好ましい特徴を持っている』
効果・副作用を総合的に評価した結果をふまえて、睡眠障害の薬剤選択を行っていく必要性を感じました。
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