高齢者において、多価不飽和脂肪酸の摂取は認知機能の保持につながるという指摘が以前からありました。
今回は、抗酸化酵素(glutamyl transpeptidase: γ-GTP)濃度との関連も含めて、高齢者における多価不飽和脂肪酸摂取と認知機能との関連を調べた研究をご紹介します。
酸化ストレスが、高齢者における脂肪摂取と認知の関係を介在する
中国の健康調査(2011~2014)を用いた研究で、2,253人の高齢者が対象となりました。
各種脂肪酸の摂取状況と認知機能・血液検査が行われ、それらの関連について分析しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①多価脂肪酸の摂取量が多いほうが、認知機能検査の一部(digit symbol substitution test : DSST)で高得点となっていました。
②抗酸化酵素(glutamyl transpeptidase)は、DSSTの得点とは負の相関(片方が大きいともう片方は小さいという関係)があり、多価不飽和脂肪酸摂取量とDSSTの得点の関係を一部介在して(影響を与える要素となって)いました。
つまり、“多価脂肪酸の摂取は認知機能に良い影響があり、(少なくともその一部は)多価脂肪酸の抗酸化作用によるかもしれない”と言えそうです。
認知症の予防を考えたときには、青魚などに含まれるオメガ3系などの多価不飽和脂肪酸摂取について、意識して取り組むと意味があるように感じました。
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