以前から大麻の使用と脳の構造的変化(体積減少)については指摘されてきましたが、今回は、思春期における皮質厚の変化を画像的に調べた研究をご紹介します。
思春期における大麻使用と神経発達の関連
ヨーロッパ8箇所からデータ収集がおこなわれたIMAGENという大規模研究の資料を使用した研究で、799人の参加者(開始時平均14.4歳)が対象となりました。
開始時点と5年後でどのように脳の構造的変化が生じたのか調べました。
結果として以下の内容が示されました。
①大麻の使用があったとき、特に前頭前皮質を中心とする脳の皮質が薄くなる変化が大きくなっていました。そして、大麻使用の頻度と変化の度合いも関連を示していました。
②皮質が薄くなる変化が大きい部位は、大麻の成分の受容体(cannabinoid 1 receptor)の分布と関連していました。
つまり、“大麻の使用があったときには通常よりも速く皮質が薄くなる変化が生じる可能性がある”と示されました。
用量との関連や受容体の分布などと合わせることで、物質使用の影響が脳の構造的変化として理解しやすく示された研究であると思われました。
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