抗不安薬や睡眠薬等で多いベンゾジアゼピン類と言われる薬剤を妊娠中に使用すると、流産や妊娠合併症、子どもの発達上の問題が増えることが指摘されています。
今回は妊娠する前のベンゾジアゼピン類の使用で、女性の急性腹症の鑑別として有名な「子宮外妊娠」のリスクが増えるのか調べた研究をご紹介します。
妊娠以前のベンゾジアゼピン使用と子宮外妊娠のリスク
アメリカの保険金請求のデータを用いた研究で、凡そ170万例の妊娠を分析の対象としています。
このうち、妊娠前90日間にベンゾジアゼピン類の使用があったかどうか、他にも不安障害や睡眠障害との関連について調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
①妊娠前にベンゾジアゼピン類の使用があった場合には、凡そ50%の子宮外妊娠のリスク上昇(相対リスクが1.47倍)を認めた。
②同様に、不安障害の診断については相対リスクが1.34倍、睡眠障害では1.28倍となっていました。
つまり、(データの性質を考えると解釈に注意が必要かもしれませんが)妊娠中だけではなく、妊娠前のベンゾジアゼピン類の使用についても、妊娠に影響を与えうる可能性が示されました。
ベンゾジアゼピン類だけではありませんが、女性の向精神薬の使用について妊娠や胎児への影響に対する継続した配慮が必要であると思われました。
#ベンゾジアゼピン
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