
虐待の体験があった場合に、長い経過の後、認知能力の低下を認めるという指摘があります。
特に感情の表出を読み取る苦手さが出現すると、コミュニケーションにも支障を来し、その後の社会生活に大きな影響を及ぼします。
統合失調症と健常者における、子どものトラウマ・脳構造・感情認知
健常者112人と統合失調症の罹患者46人を対象とし、ストレスに関連すると言われる
扁桃体・海馬・前帯状皮質の体積測定と感情認知の課題を行いました。
結果として以下の内容が示されました。
①対象者全体で、虐待の体験(特に身体的ネグレクト)による感情認知への影響を認めました。
②健常者のグループでは前帯状皮質の体積減少が、虐待の体験と感情認知の低下の仲介をしている関係がありました。
つまり、少なくとも健常者のグループでは、虐待の体験→前帯状皮質の体積減少→感情認知の低下、という関係がありそうでした。
虐待による心的外傷が脳に構造的影響を与え、社会生活の困難につながる可能性を感じました。
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