◎要約:『フランスにおいて子ども・思春期の向精神薬処方は、ほとんどのカテゴリでパンデミック後に大きく増加している』
近年(特にCOVID-19によるパンデミック後)、子ども・思春期の若年者に関して、精神状態の悪化(精神疾患診断の増加)が指摘されてきました。
今回は、子ども・思春期の向精神薬処方が、パンデミック後にどのように変化したのかを調べた研究をご紹介します。
Psychotropic Medication Prescribing for Children and Adolescents After the Onset of the COVID-19 Pandemic
COVID-19によるパンデミック後の子ども・思春期若年者における向精神薬処方
フランスにおける研究で、6~17歳に対する2016~2022年の処方(8,839,143件の処方)が調査の対象となりました。
結果として、以下の内容が示されました。
・2016年(パンデミック前)には子ども・思春期における向精神薬処方は1,000人あたり9.9人で、1か月あたりの伸び率は0.4%でした。
・2020年(パンデミック期間)には子ども・思春期における向精神薬処方の処方は11.5%低下しました。
・2022年(パンデミック後)には子ども・思春期における向精神薬処方は1,000人あたり16.1人で、1か月あたりの伸び率は1.3%でした。
・向精神薬処方の増加傾向は、中枢刺激薬以外のカテゴリ(抗不安薬、睡眠薬、鎮静薬、抗うつ薬)で共通して認めました。
パンデミックとの直接的な因果関係は不明ですが、パンデミック後に子どもの精神医療の状況に比較的大きな変化が生じていることが印象的な内容でした。
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