子ども時代のトラウマが与える長期的影響

子ども時代のトラウマ(心的外傷)が精神疾患や、身体疾患のリスクを上昇させるという指摘がなされてきました。
今回は、子ども時代のトラウマ(心的外傷)が長期的に精神疾患発症や、ホルモン濃度などの生物学的な指標にどのような影響を与えるのか調べた、アメリカの不安とうつについての学会で行われた発表 the Anxiety and Depression Association of America (ADAA) 2023をご紹介します。
オランダのうつと不安についての研究 the Netherlands Study of Depression and Anxiety (NESDA)を元にした研究で、2,779の成人(2/3が女性)を対象としています。
18歳以前の感情的、身体的、性的虐待あるいは感情的、身体的ネグレクトを含んだ子ども時代のトラウマについて調査し、長期経過での精神的・身体的影響を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・全体では48%が何らかの子ども時代のトラウマを体験していました。21%が重度のトラウマ、27%が軽度のトラウマを体験し、42%でトラウマの体験がありませんでした。
・トラウマのある場合と、ない場合の順で示すと、不安とうつ症状の経験について89% vs 68%、精神疾患がない割合11% vs 32%となっていました。
・ストレスに反応して活性化する免疫システムを調べるために測定したコルチゾール濃度では、重度のトラウマがあった場合で、トラウマがない場合よりもコルチゾールや炎症の指標となる物質の上昇を認めていました。
・子ども時代のトラウマは喫煙などの生活様式にも影響を与えていました。
要約:『子ども時代のトラウマは、その後の精神疾患の発症、身体的コンディション、生活習慣に長期的影響を及ぼす可能性がある』
トラウマの存在によって、多様な側面で長期的な影響が出現する可能性を考えるべきであると感じました。
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