
体に昆虫やダニ・シラミなどの生物が寄生しているという訂正不能な考えを持っている病態を“寄生虫妄想 delusional parasitosis”と呼ぶことがあります。
今回は、かなり以前の論文(2009年)ですが、寄生虫妄想の患者について特徴を調べた研究をご紹介します。
Delusional parasitosis: six-year experience with 23 consecutive cases at an academic medical center
寄生虫妄想: 大学関連医療施設における23症例6年間の経過
1994~1999年に大学関連医療施設(感染症内科、救急)を受診した寄生虫妄想の診断基準を満たす23人が対象となりました。
特徴として、以下のようなことが挙げられました。
・23人のうち、15人は女性、8人が男性。症状の継続期間は平均2.6年(中央値1.5年)で、短い経過期間はその後の良い経過と関連していました。
・症状の平均期間は女性3.1年 vs 男性1.5年。受診までに平均で、6人の治療者を受診していました。
・社会的交流は減少している傾向がありましたが、仕事には大きな影響を与えていませんでした。
・治療として、ピモジドまたはガバペンチンと抗うつ薬の併用が、いくつかの例で有効でした。
要約:『寄生虫妄想は女性でやや多く、経過も長い傾向があり、多くの医療機関を受診し、一部では薬物療法が有効かもしれない』
治療に難渋することも多い病態で、大きな規模の研究がないので貴重な報告であると思われました。
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