うつ病に対する幻覚剤の効果が確認されてきましたが、一部で希死念慮や自傷行為を含む、自殺関連事象(以下、自殺傾向と記載)が増加するのではないかという指摘がありました。
今回は幻覚剤による治療後に、自殺傾向が増加するのか、複数の論文のデータを用いた分析結果(メタ・アナリシス)をご紹介します。
Decreases in Suicidality Following Psychedelic Therapy: A Meta-Analysis of Individual Patient Data Across Clinical Trials
幻覚剤治療後における自殺傾向の減少:臨床検査を通してみた患者個別データのメタ・アナリシス
分析対象とする基準を満たす、5本のシロシビン(マジックマッシュルームの成分)に関する研究と2本のアヤワスカ(アマゾンで伝統的に用いられてきたつる植物)に関する研究が分析に含まれました。
結果として、以下の内容が示されました。
・幻覚剤による治療では、短時間(80~240分後)から自殺傾向の減少を認め、効果が一定期間(1日、1~8週間、3~4ヶ月と研究による差があり)持続していました。
・標準化平均差(以下、SMDと記載)を用いた分析では、6ヶ月時点でも自殺傾向は-0.65SMDと中程度を保っていました。
・治療後における自殺傾向の増加は稀(短時間後6.5%、その後3.0%)となっていました。
要約:『幻覚剤による治療では、短時間後から比較的長期にわたって自殺に関連する衝動の軽減を認める場合が多い』
しかし、少数ながらも自殺傾向が増加する点は、今後の検証を要すると思われました。
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