MDMAやシロシビン、LSD等の幻覚体験をもたらす物質について、その治療目的での使用が議論されることがあります。
以前に、このブログでも幻覚剤による多幸感をともなった体験が、長く認知に変容をもたらした例について触れたことがあります。
必ずしも、幻覚体験が生活全般に悪影響を与えるわけではなく、一部では苦痛の軽減や長期的に良い効果を望める部分もあるようです。
今回は特に、文献を広く求めて、幻覚剤が治療に有意義なのかを調べた分析(メタ・アナリシス)をご紹介します。
幻覚剤と幻覚剤を補助に使用した心理療法
当初、主な幻覚剤(MDMA、シロシビン、LSD、アヤワスカ)の名称で検索を行い、1600程の研究が候補に上がりましたが、このうち客観的な評価法をとっているものを選び、14の研究が信頼性が高いものとして分析の対象となりました。
研究のうち最も信頼性が高いものはFDA(アメリカの食品や薬品の管理を行っている省庁)によるMADAとシロシビンに関する研究で、特にPTSDに対するMDMAの効果、難治性のうつに対するシロシビンの効果に関しては、今までの治療法では得られなかった効果のある可能性が指摘されています。
また、LSDやアヤワスカに関しても、研究手法の体裁は整っていないものの、うつや不安、トラウマ等の精神症状に対して期待できる結果となっているようです。
まだまだ医療上の一般的方法として導入されるまで多くのハードルがありそうですが、法律的な問題とは別レベルの話として、治療に役立つ可能性はありそうです。
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